松崎淳 ホームページ www.matsujun.com

16年2月定例県議会青少年総合対策特別委員会での質疑のポイント

県が行う不登校や引きこもりの人への支援事業について
松崎: 新たに統合してスタートする青少年センターで、新規事業として不登校・引きこもり相談を行うことになっている。その中で、この問題に取り組むNPOへの支援を行う事業は具体的にどんな所にどのような支援をするのか。また、NPOとの協働という視点はどのように盛り込んで行くのか。
県側: NPOへの支援は、体験活動の場や民間助成金に関する情報提供の面での支援、団体の打ち合わせと交流の場所や活動に必要な印刷機などの機器の整備など活動の場への支援、ボランティア養成講座やスタッフ研修などの人的支援、さらにフリースクールやフリースペースなどNPO間のネットワークづくりなどを行う。こうした取り組みを重ねて、NPO同士が互いに支援し合える環境も、各団体と協働して作りたいと考えている。
松崎: フリースクール等に事業費補助を行うが補助対象のNPOの選定や助成額は。
県側: 既に県が団体の活動の概要を把握し実績の認められるところに絞って、特別事業や相談事業を支援する。特別事業は、その団体の会員以外にも開かれたキャンプや社会見学などを想定している。相談事業は支援を求める不特定多数の青少年や保護者に対する相談を常設しているところを対象にする。具体的な補助金の実施要項はこれから定めて行くが、これらのフリースクール等事業費補助を行うことでNPO活動が充実拡大することになり、会員数の増加と、今まで手が届いていなかった青少年への支援の拡充に結び付けたい。
松崎: NPOに不足していることには二つの側面があると指摘されている。一つは問題に直面している親と子とNPOをどうつないでいったらいいのかということであり、すべての県内NPOの存在が広く知らされていけば、地域や家庭の中で現在進行形で悩んでいる親や子の大きな助けになる。もう一つは、県のような公的機関の取り組みと市民の活動が連携をとって行くことで地域社会全体の安心できる仕組みにして行くことだ。今回のNPO支援事業もそういう形でひとりでも多くの青少年や家族の力となるよう願ってやまないし、せっかく新設する拠点だから大いに活用して一層充実強化を図るよう要望する。

子どもへの虐待問題について
松崎: 岸和田でも起きた虐待事件は、公的機関の対応の限界、家庭に対する社会の介入の問題を浮き彫りにしている。県としてどう受け止め対策を考えるのか。
県側: 今回のケースでは児童相談所である「岸和田子ども家庭センター」に、この生徒が通っていた中学校から2回相談が寄せられていた。同様のケースが神奈川県で起きた場合、児童相談所は受理会議を開かずともすべて受理をして対応する。岸和田でも同じはずで、2回目の相談は「虐待の疑いあり」との情報が寄せられていたのだから、速やかに調査を開始することになる。具体的な調査は保護者だけでなく関係機関や民生委員児童委員などから具体的な児童の状況を確認する。
今回のようなケースでは児童相談所職員が家庭を訪問しても保護者が子どもに会わせない事態が想定される。児童相談所には児童福祉法29条で家庭への立ち入り調査権もあるが、プライバシー侵害も問題になりうるので神奈川県では弁護士の助言をもらって、必要なら警察官の同行も要請して立ち入り調査を実施する。ところが、立ち入り調査はいつでもできるかというとそうではない。足立区でドアチェーンを切って突入した例があるが特殊な例である。同行した親戚が管理人から鍵を借りた、親戚から警察にドアチェーンの切断を依頼した、ということがあって実現したもので、そんなことでもなければ実際には、児童相談所も警察も法的にはそこまでできない。
虐待の恐れのある家庭の玄関先で、親の拒絶に遭って中に入れず、従って児童にも会えず、児童本人の安全確認ができないという状況は現実にあり、現行制度の制約の中で児童相談所の職員は大変歯がゆい思いをしている。壁一枚向こう、或いは玄関から数メートル先には保護を必要としている子どもがいるわけで、職員の気持ちとしては、許されるものならば一歩家の中に入り一刻も早く安全を確認し保護したい、救い出したいという気持ちで一杯だ。
児童虐待防止法の改正においても、家庭裁判所の決定等を得て強行突入できることになれば、と思う。
松崎: 制度の枠組みの中での対応の苦しさはよく分かる。その上で現場に即したぎりぎりできる範囲の対策作りを要望する。ところで一時保護した子どもが再び親と一緒に生活して行くという制度の前提は実際どんなものだろうか。頭から否定するつもりはないが、それならそれでもっとサポート体制があってもいいのではないか。さらなる取り組みを強く求めたい。
県側: 県としてはその要望に対し、新年度から新たに、虐待をした親と受けた児童の関係を改善し、親子関係の再構築を図り、家庭復帰の促進を図る専門チームを児童相談所に配置する。この親子支援チームは児童福祉司1名と心理判定員1名による2人1組で、親子関係の評価やカウンセリング指導をじっくり行いながら親子が再び家庭の中でそして地域の中で一緒に生活できるように支援して行く。この取り組みは全県の児童相談所に拡大して行う。
松崎: これまでも、虐待を受けた子どもの心の傷を癒しつつ、親へのカウンセリングを繰り返し、見極めをつけて親と子の接触、外出、外泊、長期帰宅、家庭への復帰を行ってきた。その後も児童相談所や地域の児童委員などにより見守り体制がとられてきたが、県の新たな取り組みに期待する。同時に岸和田の事件では、虐待をしている親に叱られて学校が謝罪するという、あべこべの対応も問題となっており、教育委員会と各学校には毅然とした早期対応を求める。

地域の方から学ぶ体験学習について
松崎: 金沢区には中華なべを親子二代ずっと作り続ける方がいて、地域の子どもたちがこの方を訪れて汗を流す現場に触れ学んでいる。朝日新聞にも紹介記事が載った。
県側: 記事を読んで、日本人がずっと誇りに思ってきた気質を持った方だと感じる。訪れた子どもはきっと、仕事の厳しさや楽しさ、地域にこんな人がいるという素晴らしさや学校でこのようなことを学べるうれしさを感じているだろう。子どもたちにとってその後の生き方に関わる何かしら心に残るものがあるはずだ。
松崎: ある中学校ではこのように職場を訪ねる体験学習の際、訪問先に対して「何かあったら保険に入ってますからよろしく」との電話だけで先生は一度も来なかった実例がある。教師みずから、始まりに「お願いします」終わりには「有難うございました」と言うことが社会常識と思うし、こういった先生に率いられたクラスは子どもたちにそういったことが伝わっていかない。体験学習には、人生まで感じ取るチャンスがあるのに残念なことだ。指導に当たる先生の心構えも含めて、もう一度徹底すべき基本線がありはしないか。
県側: 社会常識のない教員だ。地域の素晴らしい方から子どもたちに学ばせようという企画を考えられるのにそんなことでは残念というほかない。子どもたちが地域の人との出会いを大事にして「お願いします」「有難うございました」と言えるように指導するには、教員が率先して行う必要があることを研究会や研修会の折に指導する。
松崎: 金沢区内の小学生が生活科の時間に育てた大根を持ってきた。売っているものより短いので校長に訳を尋ねたら、学校で育てる場所がなく地域の方から宅地の提供を受け市民参加で土地を耕したとのことだ。土地が痩せていたのでこのような形になったが、そのことが逆に子どもたちにとって一生の思い出になったろう。額に汗しながら成果を得ていることやこのような取り組みを自然な形で継続していることに感激した。立派な畑を借りて農業のベテランが付きっ切りで支援する場合もあろうが、このように一生懸命やっているところ、知恵を出して一から取り組むところをぜひサポートしてもらいたい。
県側: 心温まる話をお聞かせ戴いた。地域の方々がまさに「おらが学校」と子どもたちを支えている。本当にいい事と思う。県内の各学校とも地域交流や体験学習には関心が高いので、今日うかがったことは具体的な事例として全県の各学校や関係機関との各種の会議の中で県教育委員会としてPR・情報提供していくことにする。

過去青少年総合対策特別委員会報告
2003年12月定例会 青少年総合対策特別委員会
2003年9月 「少年事件をめぐる取り組み強化に向けて」等
2003年7月 「児童虐待は親への指導強化を」 等

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